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うえだなおき事務所です。会計、税金、相続、経営計画、給与計算、社会保険等なんでもご相談ください。
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貸付制度の利用
コロナで融資や助成金を使い資金繰りをしのぐのも1つの方法ですが、
①生命保険
②小規模共済
新型コロナウイルス感染症にかかる小規模企業共済制度の特例措置について
③経営セーフティ共済
新型コロナウイルス感染症にかかる経営セーフティ共済の特例措置について
などの契約者貸付金制度も多くは無金利や低金利制度を設けているので、加入されている方は検討の価値があります。
倒産した企業の関連会社に売掛金を請求できるか
●質問
当社の売上げ先であるA社は収益性の高い不動産を所有しています。
新設分割したB社にその不動産を承継させ、A社は倒産しました。
計画的だと思うのですが、当社はB社に売掛金を払ってもらうことはできませんか。
●回答
「法人格否認の法理」によりB社に対し請求できる可能性はあります。
●解説
相談文の事実だけでは判断しかねますが、会社分割に、債務を免脱する目的があるような場合は、「法人格否認の法理」によりB社に対し請求できる可能性はあります。
原則として、別会社であればいくら関連会社であっても他の会社の責任を負うことは無いのですが、別会社であることが形骸化している場合(形骸化事例)や別会社であることを悪用しているような場合(濫用事例)には別会社であっても他の会社の責任を負わされることがあります。
債務免脱目的で、資産や人的関係だけを別会社に移転して別会社で従来と同じ商売を続けるような場合は法人格否認法理の「濫用事例」に該当する可能性があります。
仮に、法人格否認では無理でも、少なくとも、不動産譲渡の対価の授受が無ければ、民法の詐害行為取消権に基づいてB社に対する不動産譲渡を取り消して、A社に戻させることは可能でしょう。
法人格否認法理の濫用事例に該当するか否かという点で考慮すべき事実関係としては、以下のような諸点があります。
①不動産譲渡対価の授受の有無、②B社設立の時期、③B社の役員関係、④従業員の引き継ぎの有無、⑤両社の営業内容の関連性、⑥本店・営業所等の位置関係等。
一般に法人格否認の法理が認められることは稀ですが、絶無ではありません。
最近、大阪地裁で法人格否認法理(濫用事例)で別会社に対し完全勝訴判決が出ています。貴社としては取り得る二つのルートがあります。
①詐害行為取消権を行使してA社に不動産を戻させてA社を相手取って訴訟する(この場合、A社の他の債権者と資産の取り合いになる可能性有り。しかし、法人格否認に比べると勝訴はしやすい)。
②法人格否認の法理を根拠にB社を相手取って訴訟する(勝訴はかなり困難。しかし勝てば早い者勝ちで回収可能)。
いずれにしても困難な事案であることは間違いなく、一長一短あります。できるだけ早期に弁護士に具体的にご相談されることをお勧めします。
犯罪による被害金額の確定
●質問
従業員が、1年前に商品を勝手に売り横領していたことが発覚しました。
当時10万円程度でしたが、現在は値上がりして50万円はする商品です。
従業員に50万円賠償させたいのですが可能でしょうか。
●回答
原則的には横領行為時の時価である10万円ということになりますが、値上がりが予想できた場合は現在までの最高値(中間最高価格)で賠償請求できます。
●解説
古くから判例があります。
大審院判例(大正15年5月22日・富貴丸事件)では、不法行為時(物の滅失時)の交換価値を原則としつつも、騰貴価格で転売などの処分をするか、その他の方法でこの価格に相当する利益を確実に取得できたという特別な事情があり、かつその事情について予見可能性があった場合には、騰貴価格による損害賠償請求ができるとしています。
更に、最高裁判例では、価格が上昇中の場合、価格上昇について予見可能性があれば、処分が予想されたか否かに関係なく騰貴価格で賠償請求できるとしています。
(最高裁判決昭和37年11月16日、同47年4月20日)。
価格上昇が予見できたか否か(予見可能性)は、当該目的物の性質、取引市場の有無、行為時の市場動向、不法行為者の地位・経験等、色々な諸事実を総合的に判断することになると思われます。
瑕疵担保責任の法定期間の延長・短縮
●質問
電気設備を設置する工事を発注しました。請負契約書には「瑕疵担保責任の期間は「引渡の日から2年間」となっています。
当社としては、長くしたいのですが瑕疵担保責任の期間は法律で決まっているのでしょうか。
●回答
解説をご確認ください。
●解説
1 民法に規定があります。請負契約の担保責任期間は、原則として引渡しから、引渡不要の工事であれば完了から1年です。
(なお、新築住宅の場合は特別法の規定があります)
しかし目的物が、土地の工作物(典型的には建物)に関する請負の場合は原則5年
(石造、土造、煉瓦造、金属造の場合は10年)となります(以上、民法637~638)。
2 これらの期間は特約で短縮したり延長したりすることができます(同639。条文上は延長しか規定されていませんが、解釈上、短縮も可能と解されています)。実際上、建設業者の約款では短縮されています。
ご相談の件の場合、法律の規定が特約により修正されて2年(電気設備が土地の工作物に該当する場合であれば短縮されて2年、それに該当しない場合は延長されて2年)ということになります。
横領・背任・詐欺の相違点
●質問
従業員が、取引先をだまし取引先から自分の口座に入金させていました。
この場合、詐欺でしょうか?
横領・背任・詐欺の違いを教えてください。
●回答
おそらく詐欺罪に該当するでしょう。解説をご確認ください。
●解説
3つの罪の違いをごく簡単に言えば、以下のとおりです。
①詐欺罪とは相手方を騙して相手方の錯誤に乗じて財物を交付させること。
②横領罪とは、自分が占有している他人の財物を自分の物にしたり処分したりすること。
③背任罪とは、他人(本人)の為に事務処理する者が自分や第三者の利益を図る目的や本人に損害を与える目的で、その任務に背く行為をし、本人に損害を与える行為をすること。
例えば、会社の預金口座を管理している者(経理部長など)が、そこから勝手に出金して自分の懐に入れたのであれば(業務上)横領罪です。
背任に当たる場合というのは、例えば、営業部長が会社の商品を正当な理由もないのに自分の身内に原価を下回る安値が販売したとか、銀行員が焦げ付くのが分かっているのに身内に無担保で貸付を行うとかが考えられます。
ご相談の件の場合、当該従業員は、取引先を騙して当該従業員の口座が正規の取引口座だと思わせてそこに代金を振り込ませた(交付させた)のですから詐欺罪になります。この場合、詐欺罪における被害者は取引先ということになりますが、実質的な被害者は貴社ですから告発は可能です。
株主になってほしくない人がいる
●質問
大株主の長男は反社会的勢力に関与していると噂されています。
大株主が亡くなった場合、唯一の法定相続人です。
相続させない方法、または相続をしても
株を当社で強制的に買い取る方法はあるでしょう。
●回答
解説をご確認下さい
●解説
貴社が何等かの手段を用いたとしても
大株主の法定相続人に相続させないとすることはできず、
貴社の株式について相続人と合意をすることで
貴社が株式の買い取りをすることができるにとどまります。
貴社の株式について、貴社の定款で
「当会社は、相続その他の一般承継により当会社の株式を取得した者に対し、
当該株式を当会社に売り渡すことを請求することができる」
などのように定款変更手続きをして、
相続人に対する売り渡しの請求に関する事項を設けることにより
貴社は相続人に対して株式の売り渡しを請求することができることとなります。
しかし、貴社による買い取りの対価には
財源の規制(金額が高すぎて払えない)が設けられているため、
これをクリアしておかなければ
買取をすることができないリスクがありますので、
これを定めた場合であっても万全ではない点、十分ご留意ください。
また、会社が発行する株式について、
一定の事由が生じた場合には会社サイドから株式の買取りを請求することができる
「取得条項付株式」と呼ばれる株式があります。
これは、前述のとおり一定の事由が生じた場合には
会社サイドから株式の買い取りを請求することができますが、
これを発行するためには定款を変更する必要があり、
また、現在発行済みの株式をこれに転換する場合には総株主の同意が必要です。
しかし、これらを発行することができた場合であっても、
貴社が株式の買い取りをすることができる一定の事由が生じた場合であっても、
前記同様、この買い取りの対価が高すぎて払うことができない場合がありますから、十分ご留意ください。
代表取締役のみの会社で相続が発生した
●質問
当社は、代表取締役のみの会社です。
全株は代表取締役が所有しています。(代表取締役に法定相続人はいません)
代表取締役が突然、亡くなったら会社を存続させるためにどういった手続きが必要になるでしょうか。
●回答
このままでは、裁判所を通じた手続きが必要です。
直ぐに次のような対策を立てましょう。
●解説
1.
貴社の代表取締役が亡くなった場合、
貴社の取締役・代表取締役が存在しないこととなりますので、
株主総会において後任の取締役を選任する必要があります。
しかし、貴社の株主でもある代表取締役が死亡しているため、
株主権(議決権)を行使する相続人を確定する作業が必要となります。
株主に相続人が存在しない場合、
相続人不存在として家庭裁判所に対して
「相続財産管理人選任」の申立を行って相続財産管理人を選任してもらい、
同管理人が株主権(議決権)を行使することによって
貴社の取締役を選任することが想定されます。
しかし、この議決権行使までには
少なくとも6ヶ月は必要であると予想されますので、
事実上、貴社の業務執行はストップしてしまい、
取引先との取引も停止してしまいます。
そこで、このような事態を回避するために、
現時点において、非常事態を想定した対策を立てておく必要があります。
2.
例えば、株式については遺言(公正証書)によって
帰属先を予め定めておくことが良いと考えますが、
相続人が複数存在する場合や事業に供している不動産などの個人資産がある場合など、
各人の状況によって執るべき対策やタックスプランニングも異なると考えられますので、
顧問の税理士の先生と一緒に専門家に相談することが重要です。
3.
また、現時点における貴社の取締役が一人であることにより
貴社の代表取締役が死亡した場合には
業務執行の一切がストップしてしまう事態が生じるため、
貴社の取締役を1名ではなく複数名選任しておくことも対策のひとつです。