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介護

介護事業所の人手不足について

●質問
最近は人出不足と言われていますが、介護業界も人出不足です。
求人広告を依頼しても応募が全くなかったり、人材紹介では紹介報酬が高いので中々利用できません。
何かいい方法はあるのでしょうか。

●回答
介護業界だけでなく、経済活動の全てにおいて人出不足は続くでしょう。
求人は様々な手法を使うべきですが、人出不足のあまり選考が甘くなってモンスター社員のような人を採用しないようにも気を付けなければなりません。

●解説
今後の日本においては労働人口の減少から当分は求人難が続くでしょう。
AIやロボットなどで介護の仕事ができるようになるのは当分先と考えた方がいいでしょう。
そうすれば採用活動に熱心にならざるを得ませんが、労働人口が増えない中でお金をかけて採用活動しても、人材の取り合いになるだけですから、抜本的な解決にはなりません。
単に人を集めるのでなく、業務の見直しなどで解決できる方法も探しましょう。

例えば、掃除など介護職員でなくともできるのですから、シルバー人材の活用なども考えてみるべきでしょう。

あるいは、事務作業にも介護職員が携わっているかもしれません。
事務専任の方を雇用するか、効率的なソフトを採用して事務量そのものを減少させることも可能でしょう。
もちろん採用活動はすべきです。
無料のハローワーク、お試しシステムのある求人サイトなどは是非活用しましょう。
自社のHPがあるなら、ぜひHP上に求人欄を目立つように載せましょう。
求人に関しては人出が欲しいあまりに“誰でも”採用してしまい、その結果としてモンスター社員を招き入れ、その者のせいで全体のモチベーションが下がり、他の者の離職につながるという最悪の結果も有り得ます。

短期離職者、離職回数の多い者、離職理由に疑問点がある者などは要注意とするべきです。
介護業界は特に労働問題の発生率が高い業界です。
労使双方に問題があるのでしょうが、少なくとも不注意からさらなる人出不足を招かないようにしましょう。


介護

介護事業所の複数展開について

●質問
私は現在、高齢者訪問介護サービス事業所を開始してから4年経過しました。
事業は比較的良い評価をいただき、最近ではこれまでより遠方の方からも利用の依頼があります。
たまたま、少し距離がありますが同じ訪問介護事業所を引き継いで欲しいという依頼がありました。
この際ですから、ヘルパーさん確保のためにも、もう1か所事業所を立ち上げようかと考えています。
複数の事業所を運営していく上で気を付けるべき点はありますか。

●回答
1か所目で好調でも2か所目以降は利益率が下がる傾向が多く見受けられます。

●解説
介護事業所を立ち上げ好調が続くと、もう一つ出せば利益も2倍になるのではないかと言う考え方も、あながち間違えているわけではありません。
2つ、3つと事業所を展開していき、全てが好成績を残している方もおられます。
しかし、反対に2つめ以降の成績が思わしくなく、1つめの事業所にも良くない影響がでてくる場合もあります。
原因は様々ですが、1つには経営者自身の目が行き届き難くなる、ということがあります。
1つめは経営者が自分で監督ができますが、2つめ以降はそれができません。
別事業所には当然それなりの管理者をおいているでしょうが、期待した能力が発揮できていない状況になってしまっているケースが多く見受けられます。
経営者は自分ができたから、他の人もできるだろうと考えがちですが、それは多くの場合は間違いです。
経営者の半分の能力を持つ者を雇用できている事業所は、まれにしかありません。
多くの場合は半分以下の能力の者に任せるので、成績が思わしくないのも当然です。
つまり、複数事業所の展開は、その管理者、言い方を変えれば社長の右腕になる人物の存在がキーポイントになるでしょう。

それと、いくら良い右腕と言っても、あまり距離が離れた地域に展開するのも考え物です。
どうしても経営者自身が、その場にいなければならない事もありますので、その場合に距離が離れることは、時間的にも離れることになり、迅速な対応が取りにくくなりがちです。
たまたま、離れた場所で事業を引き継いでくれないか、という話が舞い込むことがあります。
例え、良い条件でも距離があるということのデメリットを差し引いて判断してください。
また反対に、現在は1つの事業所しかない場合でも、将来のことを考えて右腕候補を育てていくことは必要です。
人を育てるのは、長い時間がかかるものなのですから。


介護

介護事業所の実地指導について

●質問
介護事業を行うにあたって実地指導は避けて通れませんが、開業して間もないので実際に実地指導の連絡を受けたこともありません。
気を付けるべきことを教えて下さい。

●回答
するべき事をする、これにつきます。
実地指導では大きく分けて、書面の記録の確認と実際の事業の形態について確認します。
この2点について、法律などで決められた事項はもれなく、溜めずに実行してください。

●解説
実地指導において指摘を受ける事項の原因は故意でないなら、結局は「忙しい=人出不足」ということが多いです。
人手不足で何が起こるかと言うと、第一に人員要件が守れなくなってしまう事態が起こり得ます。
これは大変深刻なことです。

法律で決められた介護収入受取の条件を満たしていないのですから、保険過大請求となり返還義務が生じます。
過去何年も遡って返還することになり、結果として事業所閉鎖に至る場合もあります。
もちろん、故意や重大な過失では事業許可の取り消しも有り得ます。

一方、人出不足の結果事務作業がはかどらず、実地指導の際に定められた書類の提出ができないケースもあります。
この場合には保険金返還という事態には至らないことが多いのですが、決められた書類を作成しないで済む話ではありません。
結局は書類を揃え直して提出することになり、二度手間から人出不足がさらに加速します。
ではどのようにすべきでしょうか。
最初に申し上げたとおりに、すべき事は日ごろからキチンとすべきです。

実地指導の連絡が入ってから慌てても、過去は変えられません。
人手が足りないならソフトで対応する、介護現場の人材を使わず事務の人を雇用するなどの対策をとっておくべきです。
もちろん、勘違いや単に知らなかったせいで、実施指導の際に指摘を受けることもあるので、実地指導の経験者の話を聞いたり、改めて介護の仕組みを勉強することは是非取り組んでいただきたい事柄です。


介護

新規開業について 『その7、不動産・求人・事務機器その他』

●質問
介護事業を始めるにあたっては物件探しや内装工事など、普段あまり経験のないこともしなければなりません。またスタッフも1からの募集になります。
他にも気をつけるべき事柄があるでしょうが、そもそもそれが何かわかりません。
どのような気を付けるべき事柄があるでしょうか。

●回答
不動産のこと、人材募集のこと、保険や車両、事務機器の契約など様々なことに対応していかなければなりません。
介護の本業以外に経営者ともなれば、時間はいくらあっても足りないでしょう、
全てを自分でするだけでなく、専門家に協力を依頼した方がよい事柄も多くあります。

●解説
開業時に気を付けることの1つに、不動産関連があります。
訪問系などでは、あまり問題にはなりませんが、通所系や入居施設などでは事業計画を立てる際のイニシャルコストに不動産関連費用が占める割合が高くなります。
その不動産の価格は適正なのか、あるいは内部のリフォーム工事の金額は、そして介護事業独自の工事について詳しいのかなど、事前に情報を集めておくことはたくさんあります。

オープニングスタッフについても注意が必要です。
介護事業では人出不足は慢性化・深刻化しています。
新規で介護事業をする際にも当然悩みどころになるでしょう。
へたをすれば人員要件を満たせず、そもそも開業できなくなることも有り得ます。
その際に知り合いの介護事業所に勤務している人に声を掛けるのは1つの有効な方法ですが、注意すべきことはいわゆる“リップサービス”というものです。
誰しも、知人が独立開業するとなれば応援してあげたくなります。
そして、是非働いて欲しい、一緒にやろうなどと誘われると無下にはしにくいものです。
しかし、当人にも都合があります。配偶者が止めるかもしれません。
結果として、来てくれると当てにしていた人の半分も実際には来てくれなかったということも起こります。
人手が足りず、開業できないのは困りますが、無理をしてお願いしても結局はダメなことが多いです。
お互いが本当に納得できる条件で働いてもらえるように気を付けましょう。

その他に開業時に必要なもので情報が有ると無いで差がつくのは、コピー機や車両などのリース契約です。リース・ローン・現金支払いどれが最適かはそれぞれの事情によります。
様々な決定事項について経験がなければ、それがベストな選択であったか判定できない点が難しいところです。


介護

新規開業について 『その6、融資・助成金・補助金』

●質問
介護事業を始めるにあたって利用できる融資制度や助成金、補助金にはどのようなものがありますか。それを利用するにあたって、気を付けるべきことは何ですか。

●回答
融資制度には、日本政策金融公庫の開業融資制度や各民間金融機関の新規開業融資制度が利用できます。
助成金は新規開業時に利用できるものは、ほとんどありません。
補助金では、各種の設備投資に関して補助の対象になるものがあります。

●解説
1)融資について
 新規開業時に利用できる融資制度として、まず頭に浮かぶのは日本政策金融公庫の開業融資制度でしょう。
 介護事業の新規開業においても、この制度を利用する割合はかなり高くなっています。
 理由として、やはり実績のない新規開業者に対し政策的に援助する方針が日本政策金融公庫にある点が挙げられます。
 ただし、この政策公庫の開業資金制度には一定の自己資金基準などがあり、それを満たさない場合には制度そのものが利用できませんから注意すべきです。
 それに対して、一般の民間金融機関では政策公庫ほどの厳格な基準はありません。
 ただ、それは開業融資が受けやすいということではありません。
 民間金融機関の融資については、それぞれ個別交渉が大切になってきます。
 どの金融機関にすべきか、どのようにして返済についての信頼を得るか、ケースバイケースの対応ということになるでしょう。
 いずれにせよ担保や保証人があればいいのでしょうが、それがない場合には、やはりしっかりした事業計画に基づく返済予定が説明できることが肝心なことになります。

2)助成金について
 助成金制度は、そもそも計画の事後に入金されるものがほとんどですから、新規開業では例え利用できる制度があったとしても、その入金はたいてい半年から1年くらいのちになります。
 したがって、開業資金の計算に入れるのは無理ということです。

3)補助金
 補助金については、設備投資たとえば介護車両購入や特殊な入浴設備のための資金について、一定額を購入と同時または直後に入金される制度が一般的です。
 自分が投資したいものが補助金の対象になるかを調べることが必要です。
 さらに補助金の多くは事前申請が必要ですから、買ってしまった後で気がついたということのないようにしなければなりません。


介護

新規開業について 『その5、請求ソフト』

●質問
新規開業にあたり、請求ソフトは何を選べばいいでしょうか。
以前に勤めていた事業所での請求ソフトを使っての請求業務は経験がありますが、他の請求ソフトについては、全くわかりません。

●回答
いわゆる請求ソフトを使わずにする方法もありますが、時間と手間の節約のために市販のソフトの利用をお勧めします。

●解説
介護事業において請求業務は大変重要な意味を持っています。
しかし、手間と時間がかかり事業運営上において負担になっていることも事実です。
請求ソフトを使わなくとも請求はできますし、その方がお金もかからないのですが、その分は当然ですが手間と時間がかかってしまいます。
市販の請求ソフトの使用料は様々ですが、傾向としては金額が高い程、高性能になります。
当然のことなのですが、いくら高性能でも使いこなせなかったり、そもそも、その機能が必要でなかったりする場合もあります。
自分が使い慣れたソフトを使うのは慣れという点ではメリットはありますが、それが最適かの保証はありません。
できるなら、開業前に時間をかけて1つ1つのソフトを吟味し、自分の事業に最も使いやすいものを探すべきです。
どのソフトも結局は一長一短です。要は、ソフトの長所と自分が行う事業で利用したい機能が一致しているかが決め手になるでしょう。
請求業務だけをしたいのか、あるいは出退勤管理から給与計算、シフト作成までを1つのソフトで完結させたいのか、など様々な選択肢があります。
ソフトができることと、自分がしたい事の整合性を考えて決定しましょう。
一度、特定のソフトを使いだすと乗り換えのハードルは高くなります。

いくつもの販売業者に聞く、知り合いの介護事業者に聞くなどして納得いくまで調べましょう。
お金と時間の無駄使いにならないようするためには、最初が肝心です。


介護

新規開業について 『その4、自己資金』

●質問
介護事業を新規開業の予定ですが、資金繰りが心配です。
自己資金の額が的確なのか、判定できる方法はありますか。

●回答
事業計画どおりに進んでいるか、進んでいなければ今後どれくらいの時期に資金が不足しそうか、自己資金で足りるのかが不明なら事業の継続が困難になるおそれがあります。

●解説
あらためて言うまでもなく、全ての事業にとって資金繰りは大切です。
事業の継続にとって『お金』は大切です。
どんなに素晴らしい理念と計画があっても、技術力が優れていても、優秀な人材が揃っていても、企業に資金がなければ全ては終わりです。
介護事業を始めようとされる方は、介護の現場に長く関わり、その中で理想と現実の差に疑問を抱き、自らが理想の介護現場を実現させるべく決意された結果、開業を選ばれた方が多いように見受けられます。

その理想が高いのは非常に良いことです。介護はお金儲けの手段ではないでしょう。
ですが、ボランティア活動でもない限り、事業の継続には資金が必要です。
熱い決意と高い理想があれば何とかなる、ことは絶対にありません。
十分な資金的余裕と計画が揃っていなければ、自分だけでなく周囲にも迷惑をかけてしまうでしょう。

そこで大切なものは自己資金です。開業融資制度は活用すべきですが、それも十分な自己資金があっての話です。
最低1年間の事業計画を作り、その中でのイニシャルコストの3割できれば4割は自己資金でまかなえるようにすべきです。

さらに自己資金には、できるだけ親族からの援助は計算に入れないようにしましょう。
親族からの援助は事業が本当に悪化した場合に、それでも継続させるつもりなら、その時こそお願いすべきものです。
それを最初からアテにして計画するくらいなら、本当の自己資金が溜まるまで開業を延ばすべきです。

会社をつくる際の資本金に自己資金を投入すればいいのですから、投資額の少ない訪問介護事業などでは、資本金が300万円くらいの会社から始められるようなら安心でしょう。
開業前から事業計画を作り、そのイニシャルコストの3~4割の自己資金が溜まる頃が、開業の時期であり、その自己資金額が会社の資本金になると考えれば、徐々に開業へ向けての具体的な要素が決まっていくのではないでしょうか。


介護

新規開業について 『その3、事業計画』

●質問
介護事業を新規開業する際にもいわゆる事業計画というものは必要でしょうか。
必要ならば、どのような点に気を付けて作成すればよいでしょうか。

●回答
介護事業だけでなく、どのような事業でも、そして新規開業でなくても事業計画は大切です。

●解説
そもそも事業計画には大きく分けて2つの視点からの活用方法があります。

1つは自らが活用する場合。もう1つが他者への情報開示という面です。
自らが活用する場合では、事前に立てた予算と実際に行われた事業との比較、検討、改善が重要なポイントです。
これを、予実管理とも言います。
これがキチンと行われていない場合には、自分の事業が成功しているのか、失敗なのか、そして進捗具合はどの程度なのかが分からなくなります。
その結果、金銭の管理ができず、資金が足りなくなり最悪は倒産ということになります。

もう1つの活用方法が情報開示に使う場合です。
特に融資を受ける際には必要不可欠といってもいいでしょう。
新規事業に融資を行う金融機関にとっては、返済実績がないのですから事業計画という将来に向けた資金繰り予定を参考にして融資の可否を判定することになります。
事業計画に充分な信頼性があり、その数字が安定的であるなら融資可能性は高まります。
反対に、その内容や数字に根拠がなく、金融機関が返済は困難と判断すれば融資は実行されません。

以上のように事業計画は大変重要なものです。
そして作成する際には、ただの数字の羅列ではなく、どのようにしてその数字になるのか、誰が見てもわかるように、誰に対しても根拠を上げて説明できるようにしておかなくてはなりません。

このように事業計画の作成には、諸々のポイントがありますから全部を自分1人で完成させることは難しいかもしれません。
税理士などの専門家に依頼することも1つの方法ですが、あくまでも自分の事業の計画ですから、丸投げするのではなく、サポートしてもらうくらいの取り組みが良いと思われます。


介護

新規開業について 『その2、法人設立 設立時期、資本金などを決める』

●質問
法人を設立する際に気をつけなければならない点は、どのようなものがあるでしょうか?

●回答
法人の種類が決まったら、設立時期や資本金の額などを決めましょう

●解説
1)設立の時期を決める。
法人設立の目安は事業開始日より6カ月程度手前にしましょう。
事業を始めるということは契約・認可などがつきものです。
介護施設を買うことも借りることも、銀行口座を開設することも、融資を受けることも、コピー機のリースも、人を雇うことも契約です。
その契約の名義は介護事業では当然法人になるべきですが、法人設立が間に合わなければ個人名義で契約をして、その後に法人が出来てから名義を変更するなどの二度手間になってしまいます。
このような事を避けるために、早い目の設立を意識しましょう。

2)資本金の金額を決める
現在では会社設立にあたり資本金は1円からでも設立できます。
ただし、資本金の額は登記事項ですから誰もが確認することができます。
融資などの際には、信用力の目安にもなりますから1円設立はお勧めできないのが実情です。
一方で資本金が1,000万円以上では会社に対する税金が増えます。
法人住民税という税金は最低7~8万円ですが、これは資本金が1,000万円以上になると2倍以上になることが多いです。
資本金は会社のお金ですから、もちろん私用には使えませんが会社運営のために使ってしまってもいいわけです。
開業用の自己資金の全額を資本金にする、くらいでいいのではないでしょうか。

3)名称を決める
法人の名称は以前は、類似商号の制限があり、既存の法人と似ている名称の登記は受付られませんでした。
現在は、ほぼこの制限はありません。そして法人の名称と介護施設の名称も一致していなくても結構です。
法人の設立では、これらの他にも考慮すべき事は数多くあります。

通常は1度しか法人設立は行いませんから、よく考えて、自分の事業に相応しい法人設立についてアドバイスしてくれる専門家に相談することも、良い選択の1つでしょう。


介護

新規開業について 『その1、法人設立、法人の種類を決める』

●質問
介護事業を始めるについては法人格が必要と聞いています。
気を付けなければならない点は、どのようなものがあるでしょうか?

●回答
法人をつくる場合には、まず法人の種類に気を付けましょう。
法人をつくるのは最初の1度だけですから、ここで選択を誤ると取り返しがつかなくなるおそれがあります。

●解説
介護事業を行っている法人は、社会福祉法人、NPO法人、一般社団法人、株式あるいは合同会社が多数を占めています。
このうち社会福祉法人はそもそも新規設立が困難ですので、他の法人を選ぶことになります。

NPO法人を選ぶメリットは大きく2つあります。
第1に税制上の特典が受けられる場合があるということです。
NPO法人では、一定の事業に対し法人税などの税金が免除されています。

次に、名前から受ける印象があげられます。
株式会社などで運営した場合には“金儲け主義”のようなイメージを受ける人が今でも少なからず存在します。
このイメージから受けるデメリットを避ける点では、一般社団法人でも同様の効果があります。

ただし、NPO法人と一般社団法人に共通のデメリットもあります。
1つめは法人税法上の特典を受けることができないケースがあるという点です。
先ほどNPO法人では法人税上のメリットを述べましたが、反対に税額計算上で不利になるケースもあります。

そしてNPO法人では運営上の特徴もあります。
NPO法人では通常の会社の社長にあたる役職は理事長ですが、理事・理事会も相当の権限があり、重要な事柄は理事会の同意なしに進めにくいということです。
これは目立たない点ですが、運営を長く続けていく際には無視できない要素になります。

株式会社や合同会社のメリットは、NPO法人・一般社団法人と反対です。
名称からのマイナスイメージは確かにあります。

一方、税金の計算上は有利な点が多いです。
そもそも介護施設運営も経済活動ですから、利益や資金を無視しての活動は困難です。
日本の経済活動は株式会社・合同会社などの営利法人を主な対象として考えられていますから、それ以外の法人では様々な制約があったり、特典が利用できなかったりするケースがあります。

そして、これらの事は一旦、NPO法人や一般社団法人で活動を始めると気づくことができません。
NPO法人はそもそも、特定“非営利”活動法人です。
非営利活動をする、という明確な目的があってこその有効な法人です。

自分が、どのような介護事業を行いたいのか、よく考えて、それに合う形態の法人を設立するようにしましょう。