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介護

新規開業について 『その7、不動産・求人・事務機器その他』

●質問
介護事業を始めるにあたっては物件探しや内装工事など、普段あまり経験のないこともしなければなりません。またスタッフも1からの募集になります。
他にも気をつけるべき事柄があるでしょうが、そもそもそれが何かわかりません。
どのような気を付けるべき事柄があるでしょうか。

●回答
不動産のこと、人材募集のこと、保険や車両、事務機器の契約など様々なことに対応していかなければなりません。
介護の本業以外に経営者ともなれば、時間はいくらあっても足りないでしょう、
全てを自分でするだけでなく、専門家に協力を依頼した方がよい事柄も多くあります。

●解説
開業時に気を付けることの1つに、不動産関連があります。
訪問系などでは、あまり問題にはなりませんが、通所系や入居施設などでは事業計画を立てる際のイニシャルコストに不動産関連費用が占める割合が高くなります。
その不動産の価格は適正なのか、あるいは内部のリフォーム工事の金額は、そして介護事業独自の工事について詳しいのかなど、事前に情報を集めておくことはたくさんあります。

オープニングスタッフについても注意が必要です。
介護事業では人出不足は慢性化・深刻化しています。
新規で介護事業をする際にも当然悩みどころになるでしょう。
へたをすれば人員要件を満たせず、そもそも開業できなくなることも有り得ます。
その際に知り合いの介護事業所に勤務している人に声を掛けるのは1つの有効な方法ですが、注意すべきことはいわゆる“リップサービス”というものです。
誰しも、知人が独立開業するとなれば応援してあげたくなります。
そして、是非働いて欲しい、一緒にやろうなどと誘われると無下にはしにくいものです。
しかし、当人にも都合があります。配偶者が止めるかもしれません。
結果として、来てくれると当てにしていた人の半分も実際には来てくれなかったということも起こります。
人手が足りず、開業できないのは困りますが、無理をしてお願いしても結局はダメなことが多いです。
お互いが本当に納得できる条件で働いてもらえるように気を付けましょう。

その他に開業時に必要なもので情報が有ると無いで差がつくのは、コピー機や車両などのリース契約です。リース・ローン・現金支払いどれが最適かはそれぞれの事情によります。
様々な決定事項について経験がなければ、それがベストな選択であったか判定できない点が難しいところです。


介護

新規開業について 『その6、融資・助成金・補助金』

●質問
介護事業を始めるにあたって利用できる融資制度や助成金、補助金にはどのようなものがありますか。それを利用するにあたって、気を付けるべきことは何ですか。

●回答
融資制度には、日本政策金融公庫の開業融資制度や各民間金融機関の新規開業融資制度が利用できます。
助成金は新規開業時に利用できるものは、ほとんどありません。
補助金では、各種の設備投資に関して補助の対象になるものがあります。

●解説
1)融資について
 新規開業時に利用できる融資制度として、まず頭に浮かぶのは日本政策金融公庫の開業融資制度でしょう。
 介護事業の新規開業においても、この制度を利用する割合はかなり高くなっています。
 理由として、やはり実績のない新規開業者に対し政策的に援助する方針が日本政策金融公庫にある点が挙げられます。
 ただし、この政策公庫の開業資金制度には一定の自己資金基準などがあり、それを満たさない場合には制度そのものが利用できませんから注意すべきです。
 それに対して、一般の民間金融機関では政策公庫ほどの厳格な基準はありません。
 ただ、それは開業融資が受けやすいということではありません。
 民間金融機関の融資については、それぞれ個別交渉が大切になってきます。
 どの金融機関にすべきか、どのようにして返済についての信頼を得るか、ケースバイケースの対応ということになるでしょう。
 いずれにせよ担保や保証人があればいいのでしょうが、それがない場合には、やはりしっかりした事業計画に基づく返済予定が説明できることが肝心なことになります。

2)助成金について
 助成金制度は、そもそも計画の事後に入金されるものがほとんどですから、新規開業では例え利用できる制度があったとしても、その入金はたいてい半年から1年くらいのちになります。
 したがって、開業資金の計算に入れるのは無理ということです。

3)補助金
 補助金については、設備投資たとえば介護車両購入や特殊な入浴設備のための資金について、一定額を購入と同時または直後に入金される制度が一般的です。
 自分が投資したいものが補助金の対象になるかを調べることが必要です。
 さらに補助金の多くは事前申請が必要ですから、買ってしまった後で気がついたということのないようにしなければなりません。


介護

新規開業について 『その5、請求ソフト』

●質問
新規開業にあたり、請求ソフトは何を選べばいいでしょうか。
以前に勤めていた事業所での請求ソフトを使っての請求業務は経験がありますが、他の請求ソフトについては、全くわかりません。

●回答
いわゆる請求ソフトを使わずにする方法もありますが、時間と手間の節約のために市販のソフトの利用をお勧めします。

●解説
介護事業において請求業務は大変重要な意味を持っています。
しかし、手間と時間がかかり事業運営上において負担になっていることも事実です。
請求ソフトを使わなくとも請求はできますし、その方がお金もかからないのですが、その分は当然ですが手間と時間がかかってしまいます。
市販の請求ソフトの使用料は様々ですが、傾向としては金額が高い程、高性能になります。
当然のことなのですが、いくら高性能でも使いこなせなかったり、そもそも、その機能が必要でなかったりする場合もあります。
自分が使い慣れたソフトを使うのは慣れという点ではメリットはありますが、それが最適かの保証はありません。
できるなら、開業前に時間をかけて1つ1つのソフトを吟味し、自分の事業に最も使いやすいものを探すべきです。
どのソフトも結局は一長一短です。要は、ソフトの長所と自分が行う事業で利用したい機能が一致しているかが決め手になるでしょう。
請求業務だけをしたいのか、あるいは出退勤管理から給与計算、シフト作成までを1つのソフトで完結させたいのか、など様々な選択肢があります。
ソフトができることと、自分がしたい事の整合性を考えて決定しましょう。
一度、特定のソフトを使いだすと乗り換えのハードルは高くなります。

いくつもの販売業者に聞く、知り合いの介護事業者に聞くなどして納得いくまで調べましょう。
お金と時間の無駄使いにならないようするためには、最初が肝心です。


介護

新規開業について 『その4、自己資金』

●質問
介護事業を新規開業の予定ですが、資金繰りが心配です。
自己資金の額が的確なのか、判定できる方法はありますか。

●回答
事業計画どおりに進んでいるか、進んでいなければ今後どれくらいの時期に資金が不足しそうか、自己資金で足りるのかが不明なら事業の継続が困難になるおそれがあります。

●解説
あらためて言うまでもなく、全ての事業にとって資金繰りは大切です。
事業の継続にとって『お金』は大切です。
どんなに素晴らしい理念と計画があっても、技術力が優れていても、優秀な人材が揃っていても、企業に資金がなければ全ては終わりです。
介護事業を始めようとされる方は、介護の現場に長く関わり、その中で理想と現実の差に疑問を抱き、自らが理想の介護現場を実現させるべく決意された結果、開業を選ばれた方が多いように見受けられます。

その理想が高いのは非常に良いことです。介護はお金儲けの手段ではないでしょう。
ですが、ボランティア活動でもない限り、事業の継続には資金が必要です。
熱い決意と高い理想があれば何とかなる、ことは絶対にありません。
十分な資金的余裕と計画が揃っていなければ、自分だけでなく周囲にも迷惑をかけてしまうでしょう。

そこで大切なものは自己資金です。開業融資制度は活用すべきですが、それも十分な自己資金があっての話です。
最低1年間の事業計画を作り、その中でのイニシャルコストの3割できれば4割は自己資金でまかなえるようにすべきです。

さらに自己資金には、できるだけ親族からの援助は計算に入れないようにしましょう。
親族からの援助は事業が本当に悪化した場合に、それでも継続させるつもりなら、その時こそお願いすべきものです。
それを最初からアテにして計画するくらいなら、本当の自己資金が溜まるまで開業を延ばすべきです。

会社をつくる際の資本金に自己資金を投入すればいいのですから、投資額の少ない訪問介護事業などでは、資本金が300万円くらいの会社から始められるようなら安心でしょう。
開業前から事業計画を作り、そのイニシャルコストの3~4割の自己資金が溜まる頃が、開業の時期であり、その自己資金額が会社の資本金になると考えれば、徐々に開業へ向けての具体的な要素が決まっていくのではないでしょうか。


介護

新規開業について 『その3、事業計画』

●質問
介護事業を新規開業する際にもいわゆる事業計画というものは必要でしょうか。
必要ならば、どのような点に気を付けて作成すればよいでしょうか。

●回答
介護事業だけでなく、どのような事業でも、そして新規開業でなくても事業計画は大切です。

●解説
そもそも事業計画には大きく分けて2つの視点からの活用方法があります。

1つは自らが活用する場合。もう1つが他者への情報開示という面です。
自らが活用する場合では、事前に立てた予算と実際に行われた事業との比較、検討、改善が重要なポイントです。
これを、予実管理とも言います。
これがキチンと行われていない場合には、自分の事業が成功しているのか、失敗なのか、そして進捗具合はどの程度なのかが分からなくなります。
その結果、金銭の管理ができず、資金が足りなくなり最悪は倒産ということになります。

もう1つの活用方法が情報開示に使う場合です。
特に融資を受ける際には必要不可欠といってもいいでしょう。
新規事業に融資を行う金融機関にとっては、返済実績がないのですから事業計画という将来に向けた資金繰り予定を参考にして融資の可否を判定することになります。
事業計画に充分な信頼性があり、その数字が安定的であるなら融資可能性は高まります。
反対に、その内容や数字に根拠がなく、金融機関が返済は困難と判断すれば融資は実行されません。

以上のように事業計画は大変重要なものです。
そして作成する際には、ただの数字の羅列ではなく、どのようにしてその数字になるのか、誰が見てもわかるように、誰に対しても根拠を上げて説明できるようにしておかなくてはなりません。

このように事業計画の作成には、諸々のポイントがありますから全部を自分1人で完成させることは難しいかもしれません。
税理士などの専門家に依頼することも1つの方法ですが、あくまでも自分の事業の計画ですから、丸投げするのではなく、サポートしてもらうくらいの取り組みが良いと思われます。


介護

新規開業について 『その2、法人設立 設立時期、資本金などを決める』

●質問
法人を設立する際に気をつけなければならない点は、どのようなものがあるでしょうか?

●回答
法人の種類が決まったら、設立時期や資本金の額などを決めましょう

●解説
1)設立の時期を決める。
法人設立の目安は事業開始日より6カ月程度手前にしましょう。
事業を始めるということは契約・認可などがつきものです。
介護施設を買うことも借りることも、銀行口座を開設することも、融資を受けることも、コピー機のリースも、人を雇うことも契約です。
その契約の名義は介護事業では当然法人になるべきですが、法人設立が間に合わなければ個人名義で契約をして、その後に法人が出来てから名義を変更するなどの二度手間になってしまいます。
このような事を避けるために、早い目の設立を意識しましょう。

2)資本金の金額を決める
現在では会社設立にあたり資本金は1円からでも設立できます。
ただし、資本金の額は登記事項ですから誰もが確認することができます。
融資などの際には、信用力の目安にもなりますから1円設立はお勧めできないのが実情です。
一方で資本金が1,000万円以上では会社に対する税金が増えます。
法人住民税という税金は最低7~8万円ですが、これは資本金が1,000万円以上になると2倍以上になることが多いです。
資本金は会社のお金ですから、もちろん私用には使えませんが会社運営のために使ってしまってもいいわけです。
開業用の自己資金の全額を資本金にする、くらいでいいのではないでしょうか。

3)名称を決める
法人の名称は以前は、類似商号の制限があり、既存の法人と似ている名称の登記は受付られませんでした。
現在は、ほぼこの制限はありません。そして法人の名称と介護施設の名称も一致していなくても結構です。
法人の設立では、これらの他にも考慮すべき事は数多くあります。

通常は1度しか法人設立は行いませんから、よく考えて、自分の事業に相応しい法人設立についてアドバイスしてくれる専門家に相談することも、良い選択の1つでしょう。


介護

新規開業について 『その1、法人設立、法人の種類を決める』

●質問
介護事業を始めるについては法人格が必要と聞いています。
気を付けなければならない点は、どのようなものがあるでしょうか?

●回答
法人をつくる場合には、まず法人の種類に気を付けましょう。
法人をつくるのは最初の1度だけですから、ここで選択を誤ると取り返しがつかなくなるおそれがあります。

●解説
介護事業を行っている法人は、社会福祉法人、NPO法人、一般社団法人、株式あるいは合同会社が多数を占めています。
このうち社会福祉法人はそもそも新規設立が困難ですので、他の法人を選ぶことになります。

NPO法人を選ぶメリットは大きく2つあります。
第1に税制上の特典が受けられる場合があるということです。
NPO法人では、一定の事業に対し法人税などの税金が免除されています。

次に、名前から受ける印象があげられます。
株式会社などで運営した場合には“金儲け主義”のようなイメージを受ける人が今でも少なからず存在します。
このイメージから受けるデメリットを避ける点では、一般社団法人でも同様の効果があります。

ただし、NPO法人と一般社団法人に共通のデメリットもあります。
1つめは法人税法上の特典を受けることができないケースがあるという点です。
先ほどNPO法人では法人税上のメリットを述べましたが、反対に税額計算上で不利になるケースもあります。

そしてNPO法人では運営上の特徴もあります。
NPO法人では通常の会社の社長にあたる役職は理事長ですが、理事・理事会も相当の権限があり、重要な事柄は理事会の同意なしに進めにくいということです。
これは目立たない点ですが、運営を長く続けていく際には無視できない要素になります。

株式会社や合同会社のメリットは、NPO法人・一般社団法人と反対です。
名称からのマイナスイメージは確かにあります。

一方、税金の計算上は有利な点が多いです。
そもそも介護施設運営も経済活動ですから、利益や資金を無視しての活動は困難です。
日本の経済活動は株式会社・合同会社などの営利法人を主な対象として考えられていますから、それ以外の法人では様々な制約があったり、特典が利用できなかったりするケースがあります。

そして、これらの事は一旦、NPO法人や一般社団法人で活動を始めると気づくことができません。
NPO法人はそもそも、特定“非営利”活動法人です。
非営利活動をする、という明確な目的があってこその有効な法人です。

自分が、どのような介護事業を行いたいのか、よく考えて、それに合う形態の法人を設立するようにしましょう。


介護

介護職員の処遇改善加算について

●質問
処遇改善加算について教えて下さい。
私はいわゆる放課後等デイサービスの事業を行っていますが、処遇改善加算は申請していません。
制度の内容が複雑で、色々としなければならないことが多く、手間がかかる上に受け取った加算金以上の金額を従業員に支払わなければならないそうですので、メリットがないように感じてしまいます。
それでも、処遇改善加算は申請した方が良いのでしょうか。

●回答
介護事業独自の制度として加算金の仕組みがあります。中でも処遇改善加算制度は高齢者・障碍者のどちらの事業でも受け取り金額も多くなりますから、必ず活用すべきです。
この加算金を受け取ることで事業を進めるにつきデメリットになることはないでしょう。

●解説
処遇改善加算はご存知のように、様々な加算制度の内でも金額が非常に多くなるものです。

ただし、金額が高くなるにつれクリアすべきハードルも高くなっていきますし、加算金を継続的に受け取るためには毎年の事務量も増えることになります。

そもそも人出が足りないのに、その上介護現場でなく事務仕事は増やしたくないのは、どこの事業所でも同じです。
手間をかけたくなくて、他の事業所の真似をしても、自分の事業所とスタイルが全く同じということは有り得ませんから、結局はつじつまが合わずに失敗してしまいます。

処遇改善加算制度は就業規則や人事評価制度と密接に結びついていますから、処遇改善加算に詳しい社会保険労務士に依頼することも1つの方法です。
詳しい社会保険労務士であれば、加算金を受け取りかつ経営上でも有効な方法を知っている事と思われます。

例えば、受け取った加算金を必ずしも全額従業員に支給しなければならないわけではなく、支給した加算金に応じて増えた社会保険料に相当する金額部分は、従業員に支給する必要はありません。
また、支給対象者についても平均的に、あるいは給与に比例して支給する必要はありません。

極端な例ですが誰かには100万円、誰かには0円でもきちんとした理由があればOKです。
この加算金の申請をして受け取らなければ従業員の昇給が難しくなり、結果として求人難=人手不足になります。

そのような事態を避けるためにも、是非とも処遇改善加算は申請できるようにして下さい。


不動産

相続財産を調べたら不動産が共有名義だった

●質問
代表取締役が亡くなり、相続財産を調べていたところ
代表取締役個人の所有だと思っていた会社の土地建物は
代表取締役の弟との共有名義でした。

当該不動産は、会社で買い取る予定でしたが、
代表取締役の弟は既に亡くなりその相続人は行方が分かりません。

当該不動産の名義を全て会社にすることは不可能なのでしょうか。

●回答
代表取締役の弟の相続人の行方が分からない現時点において、
不動産の売買契約をすることはできないと考えます。

現在の不動産登記に関する法律の不備であり、
法改正による解決が望まれています。

●解説
共有名義の不動産を貴社の名義とするためには、

①代表取締役の相続人の全員が関与して相続人の名義とする
②弟の相続人の全員が関与して相続人の名義とする
③前記①②で登記名義人となった方々と貴社とで売買契約を締結する

と3段階の手続きが必要となります。

しかしながら、弟の相続人の行方が不明である場合、
前記②の手続きをすることができないことから、
貴社への売却手続きをすることもできず
登記名義を変更することもできないこととなります。

なお、弟の相続人の一部が行方不明である場合であっても、
例えば不在者の財産管理人を家庭裁判所に申立てをすることによって選任し、
相続人の一部と不在者財産管理人とで協議(遺産分割協議)の上、
相続人の名義として売却することも可能ではありますが、
行方不明の状況などや遺産分割の内容、
家庭裁判所の許可など個別具体的な状況によって
売却の可否は異なるものでありますので、
専門家に相談することが良いと考えます。


不動産

賃貸借契約を結びたくないと言われた

●質問
当社商品を展示するため、
商業施設の一角50平米を2年間(更新有り)借りることになりました。

商業施設の所有者からは賃貸借契約ではなく、
広告宣伝契約として交わしたいと言われています。

知人からは借地借家法の適用にならないからやめた方がいいと
アドバイスされましたがどういうことでしょうか。

●回答
借地借家法の適用を受けるか否かについては、
契約の名称や表題によって定まるもの
ではなく、契約の実態によって決まるものであると考えます。

●解説
契約書のタイトルがどうであれ、
契約の内容が建物(一部を含む)の賃貸借契約としての内容である場合には、
借地借家法の適用(保護)を受けます。

この点、建物の賃貸借契約であって借地借家法の適用を受けない契約とは、
例えば一時使用目的の賃貸借契約などでありますが、
このような借地借家法の適用を受けない建物賃貸借契約である場合、
建物の貸主が建物からの退去を申し入れる際における
「正当事由」が不要であるとされており、
借地借家法の適用がある賃貸借契約より
借主の保護が緩和されております。

しかしながら、定期建物賃貸借契約(定期借家)を締結することにより、
契約期間の満了によって契約更新をすることなく
確定的に契約を終了させることができるため、
実質的に貸主からの退去申し入れにおける
「正当事由」は骨抜きとされるリスクがあると考えます。

どのような場合でも、貴社と相手方との契約は、
実際の取引態様を反映した契約を締結することが
大変重要であると考えます。

契約上の有利不利を考慮して
実態とかけ離れた文言の契約書を作成すれば、
後日どのようなリスクがあるか予測不可能になります。