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人事労務

連休中の出勤した場合の割増し賃金

●質問

連休中に休日出勤してもらった従業員には、必ず35%増しの休日出勤手当が必要になりますか。

 

●回答

法定休日の出勤でなければ35%増にする必要はありません。

また、週40時間以内の労働であれば休日出勤であっても基本的には25%の割増率も不要です。

ただ、就業規則に割増賃金を支払うと定めている場合は、就業規則に則ることになります。

●解説

労働基準法には、次の3種類の割増賃金が定められています。

・1日8時間・1週40時間(いわゆる法定労働時間)を超えて労働した場合に、25%増の時間外労働割増賃金

・夜10時から翌朝5時までの間に労働した場合の、25%増となる深夜労働割増賃金

・法定休日に労働した場合に、35%増となる法定休日労働割増賃金

また法定休日とは、1週に1日か、起算日を特定した4週に4日もうける休日をいいます。

この法定休日に労働させた場合(言い換えると、法定休日を与えることができなかった場合)に法定休日労働割増賃金が発生します。

では連休に出勤した場合に法定休日労働に該当するかというと連休全てを出勤していれば、そうなるかとも思いますが他に休日を与えられているなら、法定休日労働には該当しないことになります。

ただし、休日出勤をした週に既に法定労働時間の上限まで労働している場合には、時間外労働割増賃金が発生することもあります。

さらに、ここまでは原則的な考え方になりますが、会社ごとの就業規則の内容によってその取扱いがことなることがあります。

例えば、『休日(法定休日か否かを問わず)労働はすべて35%増とする。』と就業規則に定められていれば、いわゆる法定休日労働に該当しなくても、35%増の割増賃金を支払う必要があります。

貴社の就業規則がどの様に定めてあるかをよくご確認ください。


人事労務

履歴書は返却すべきか、破棄すべきか。

●質問

不採用となった方から履歴書の返却を求められたのですが、既に廃棄していました。

履歴書は必ず返却しないといけないのか教えてください。

また、今後どのようにすべきなどかもご意見いただけませんでしょうか。

 

●回答

法律によって返却が義務付けられているわけではありませんが、労働局やハローワークでは、できるだけ返却するよう推奨しています。

 

●解説

職業安定法により、履歴書等の応募書類を採用選考以外の目的で使用することが禁止されており、そのため目的が済めば返却、または責任をもって廃棄することになります。

返却が義務付けられてはいませんので、社内でシュレッダーにかけても構わないのですが、応募者の了承を得ていないケースや、そもそも履歴書の取扱いについて何も伝えていないと本人からすれば、自分の履歴書がどの様に扱われたのか分からないことになります。

そうなると、上記の職業安定法が禁止している“目的以外の使用”を本当にしていないのかという疑問が湧いてくるでしょうから、会社に苦情を申し立てるだけではなくハローワーク等へ会社に対する指導をするよう求めたり、損害賠償を請求したりということもありえます。

加えて、万が一本当に書類が流出してしまったり、目的以外の使用がされてしまえば会社の責任問題にもなってしまいます。

ご相談の履歴書については既に破棄されてしまっている以上、返却は不可能ですので事前に取扱についてお伝えしたかどうかも踏まえて、誠実に説明し理解を求めることが望ましいでしょう。

 

今後は、例えば「特にご要望がない場合は、責任をもって破棄します」や「不採用の場合は、履歴書の返却と併せ郵送にてご連絡さしあげます」など応募者からの質問がなくても、積極的に履歴書の取扱いをお伝えすると良いでしょう。

ただ、手元に戻ってくる方が本人は安心するもので、ハローワーク等も返却を推奨していますし、うっかり廃棄されず社内に残ってしまうという事態も避けたいところですから、やはり積極的な返却をお勧めします。

また、応募書類の返却の有無や返却時の方法と時期、また採用・不採用通知の方法・時期などの連絡事項は、あらかじめチェックリストを用意され伝え漏れ・送付漏れのないように運用されると確実かと思います。


人事労務

二重の懲戒処分と一事不再理の原則

●質問

取引先に対して不始末を起こした従業員がいます。

懲戒処分として出勤停止の上、減給処分を行う予定ですが妥当でしょうか。

いずれの処分も就業規則上に定めてあります。

 

●回答

不始末の程度、内容が分かりませんので、処分の妥当性についてはお答えしかねます

が二重処分を行うことは避けられることをお勧めします。

 

●解説

「一事不再理の原則」という、憲法に定められ裁判でも用いられる考え方があります。

要は、一つの事件に対して複数の処分をしてはいけないというルールです。

 

このルールは、会社で行われる懲戒処分にも適用されていて、過去の裁判においても一事不再理の原則に反しているかどうかをもって、懲戒処分の無効判決が出されたことも度々あります。

 

ご質問にある“不始末”がどういった内容であるかが分かりませんが、それが一つの事案であるならば、処分も一つにしておく必要があります。

 

しかし、その不始末が一連のことであっても複数の事案を同時に発生させている場合は、それぞれについて処分することや、各事案の情状を勘案して重い処分を行うことは、一時不再理の原則には反しないとされています。

 

例えば、業務中に何らかの過失により事故を起こし、その後、問題発覚を恐れて事実の隠ぺいを図ったことが発覚したとします。前半の過失による事故と後半の故意の事実隠ぺいは別の事案と考えられますので、それぞれ別の懲戒処分をすることも可能です。

 


人事労務

自転車通勤と通勤災害

●質問

会社に無届で自転車通勤をしている従業員がいます。

事故があった場合は、やはり労災保険の通勤災害の対象外になりますか。

また、自転車通勤を禁止するつもりは特にありませんが、何か従業員に注意しておくことはありますか。

 

●回答

会社に無断であっても、一般的に見て合理的な方法・経路での通勤途上の事故であれば通勤災害の対象とされますが、合理的と認められる範囲については、従業員に周知しておくことが望ましいかと思います。

●解説

まず、通勤災害として認められ労災保険の給付が行なわれる主な4つの条件を確認します。

1.就業に関していること

2.業務上でないこと

3.合理的な経路と方法であること

4.住居と就業場所の往復であること

ご質問の自転車通勤が、上記の3に該当するかどうかという点が問題になりますが、通勤の方法は、公共交通機関、マイカー、徒歩など人によって様々です。

通勤災害として認められる条件は、会社に届け出ている経路・方法であることに限定されておらず、常識的な通勤途上であればよいことになります。

ただ、最近では健康やエコを目的にかなりの距離を自転車で通勤される人も増えているようです。

行政から具体的な通達が出されてはいませんが、あえて公共交通機関を使用せず何時間もかけて自転車通勤をしているようでは、合理的ではないと判断される可能性もありますので念のためご留意ください。

また、上記の4についても注意が必要です。

「住居と就業場所の往復であること」とのことですが、つまり「寄り道をしないこと」です。

しかし、通勤途上で子を保育園等に送迎したり、コンビニやスーパーで日用品を購入したり、他にも通院、食事、知人との会合、映画鑑賞やフィットネスクラブなど、業務時間外なのですから、これもまた人それぞれに寄り道をすることかと思います。

この寄り道の内容によっては、上記の3や4に該当しなくなり、通勤災害の対象外となることがあります。

自転車通勤をする従業員には、「不要な寄り道は極力避けること」「安全運転を心掛けること」を順守するようお伝えください。

最近では、比較的安価な民間保険会社の自転車保険も販売されていますから、検討材料の1つとしておくことも有り得るでしょう。


人事労務

試用期間中の解雇をする場合の注意点

●質問

3ヶ月の試用期間を設けて採用した者がいるのですが、期待したほどの能力がないと判断

したため、本採用しないことに決定しました。

有期契約ではないので辞めてもらうとなると、やはり解雇になりますか。

解雇予告も必要ですか。

 

●回答

解雇になります。

ただ、雇入れて14日未満での解雇であれば、試用期間中とのことなので解雇予告は不要

になります。

●解説

試用期間中でも、雇用契約が初日から既に発生しています。

その雇用契約を、どういう事情であれ、会社側の判断により打ち切るということですので即ち解雇になります。

労働基準法では解雇について次の2点が求められます。

(1) 就業規則に記載されている解雇事由に則っていること

(2) 30日分の解雇予告(事前通知または解雇予告手当の支払い)

(1)については、貴社の就業規則上の解雇の条文をご確認いただき、試用期間中の能力不足による解雇を行うのに相当な事由があることをご確認ください。

(2)については、原則として30日前に解雇通知をすることが必要となり日数を短縮した場合は、短縮した日数分に解雇予告手当(1日あたり平均賃金1日分)に支払いが必要となります。ただし、試用期間中かつ入社後(暦日で)14日未満であれば、解雇予告を行うことが免除されるので予告なしで解雇可能です。※予告なしとなっても上記(1)は必要となります。

また、労働契約法によって客観的に合理的かつ社会通念上相当と認められる解雇理由が求められます。この解雇理由がない場合は、上記(1)の就業規則上の事由であっても無効とされます。

能力不足による解雇されるとのことですが、恐らく就業規則には、解釈次第で該当していると言える解雇事由はあるかと思います。

しかし、本当に重要なのは、“試用期間中に解雇されるほどの能力不足”であることを誰が考えても納得できるような形で証明できるかどうかという点です。

一般的に試用期間中であれば、本採用者に比べて解雇権を行使しやすいとされていますが、「でき得る限りの教育・指導をしたが、解雇せざるを得ないほど改善されなかった」という客観的な事実・記録が存在しているかどうか、という点も含めて改めて慎重にご判断されることをお勧めします。

日本の労働法は、労働者保護の側面が強く、特に解雇については非常に厳しい条件が付けられています。


人事労務

休憩時間中の行動制限はできるのか

●質問

休憩時間中の外出を禁止したり許可制にするなどの制限をすることはできますか。

ごく一部ですが、従業員が昼休憩中にパチンコに行くなどして少々困っています。

 

●回答

一定の制限を加えることは可能です。

●解説

休憩には次の3つの原則があります。

1、仕事の途中に与えなければならない『途中付与の原則』

2、特定の業種の場合や労使協定がある場合を除いて、同時に休憩を与えなければならない『一斉付与の原則』

3、休憩時間中は自由に休息させなければならない『自由利用の原則』

 

3つ目の『自由利用の原則』があるために、基本的に休憩時間中の労働者は、その行動に制限を受けません。

しかし、休憩中とはいえ勤務中であることには違いありませんので、本当にどのような振る舞いをしていても許されるということではなく、当然のことですが常識や節度は保たれなければなりません。

そういった考えのもと、会社の規律保持や企業秩序維持のためにある程度の制限を加えることは許容されるものであるという裁判例や行政通達があります。

今回のご相談では、休憩時間中にパチンコに行くことを制限されたいとのことですが遊戯に熱中してしまい休憩時間内に事業場に戻れない、十分な休息がとれない、

あるいは制服や社名入りの作業着姿のままでは企業の評判に悪影響を及ぼすといった可能性が十分に考えられ、当然、これらは会社の規律保持や企業秩序維持の上で問題になる事柄です。

外出理由の申出や必ず時間内に戻ることを条件に、休憩時間中の外出を認めるという旨を就業規則に記載され、その様に運用されるとよいかと思います。

 

ただし、会社の敷地内では自由に休息をとることができる環境を用意することも重要です。

“自分の事務机で電話番をしながら”“作業場内にて機器類を監視しながら”の休憩は、『休憩』ではなく『労働』とされてしまうのでご注意ください。

会社の指示により、待っているだけの「手待ち時間」も労働時間となります。

 

なお、休憩中における演説や集会、ビラ配布なども他の従業員の休憩の妨げになる場合やその内容次第で企業秩序を乱すおそれがある場合などは、許可なくこれらを行ってはならないとすることも可能とされています。


人事労務

振替出勤日の再振替をする場合

●質問

ある祝日(所定の休日)に会社行事を行うにあたって、休日を振り替え、その祝日を出社

日としていたのですが、諸事情により行事が中止となりました。

結局その日は休日としたので、振り替えるはずだった出勤日が1日余っていると思います。

この出勤日をまた別の休日に振り替えても差し支えないですか。

 

●回答

事前に振り替えているのなら基本的に問題はないと考えられますが振り替え休日を行うための要件等についてご確認ください。

●解説

休日の振り替えの要件とは次の通りです。

 

1.就業規則や労働協約に「休日振替」について振替要件、運用方法などを定めている

2.振替日を事前に特定(明示)する

 

振替日を特定して振り替えることにより、従来の所定休日と所定勤務日を入れ替えることができます。

振替休日が振替出勤日の前にきても後にきても構いません。

 

ただ、振り替えが行われるまでの期間について、法的な規制はないのですが「振り替えるべき日については、振り替えられた日以降できる限り近接している日が望ましい」という行政通達が出されています(S63.3.14基発150号)。

また、労働局では、できるだけ同一賃金計算期間中に取得させるよう指導を行っているようですので、できるだけ近い日に振り替えられるのが望ましいかと思います。


人事労務

就業規則と雇用契約書で内容が異なる場合

●質問

従業員から「就業規則の内容と雇用契約書の内容に違う点がある」との指摘がありました。

確認してみると、確かに雇用契約のほうが有利だったり就業規則のほうが有利だったりまちまちでした。

このような場合、どちらの内容を適用したらよいのでしょうか。

 

●回答

各事項について、労働者にとって有利な方が有効とされます。

●解説

まず、就業規則が有利となっている点について労働基準法の第93条に次のような規定があります。

「就業規則に定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。

この場合において無効となった部分は、就業規則で定める基準による。」

労働条件の有利さについて、就業規則の方が個別の労働契約より有利となっている場合には、その点については無効となり就業規則の基準になります。つまり就業規則が有利となっている点については、就業規則が有効です。

次に、個別の労働契約が有利となっている点について労働基準法には明確な規定はありませんが、判例等では、就業規則を基本的な労働条件として個別の労働契約が特約を定めているという解釈がなされます。

特約といっても就業規則を下回る特約は上記の通り無効化されますので上回る特約だけが有効です。

つまり、個別の労働契約が有利となっている点は、労働契約が有効となります。

ところで、就業規則や労働契約を従業員にとって不利に変更する際に従業員の同意が必要とされ、同意がない場合は無効とされます。

今回の従業員からのご指摘にあたって、労働条件等の見直しをされるのではないかと思いますが従業員との協議を経ず、一方的に変更されてしまうと労務トラブルに直結してしまいます。

労使お互いにどの様な認識を持っていたか、またどのような要望があるのか十分にお話し合いをされた上で、ご変更されることをお勧めします。

また今後、このような事にならないように就業規則や労働協約、雇用契約については、整合性に十分気を配ることが必要です。

1か所の変更が全体に及ぶこともありますので、専門家による検証も検討してみる価値があります。


税金

法律上の貸倒れの意義

●質問
法律上の貸倒れについて、具体的な内容を教えてください。

●回答
法律上の貸倒れは、更生計画認可決定や所定の債権放棄により、強制的に債権の全部または一部が切り捨てられた場合に認められるものです。

●解説
会社更生法などの法律の規定や、所定の債権放棄により、債権が強制的に切り捨てられるケースがありますが、このような場合に認められるのが法律上の貸倒れです。
強制的に切り捨てられますので、貸倒損失が発生していることは誰の目にも明らかですから、経理上の要件も必要なく、その事実が発生した時点で無条件に、その切り捨てられた金額を貸倒損失とすることができます。

法律上の貸倒れが認められる場合についてまとめますと、以下のとおりとなります。

法律上の貸倒れ
①切り捨てられることとなった部分の金額
 更生計画認可の決定による切捨て
 再生計画認可の決定による切捨て
 特別清算に係る協定の認可の決定による切捨て
 以下の関係者間協議決定による切捨て
 〇債権者集会の協議決定で合理的な基準により
  債務者の負債整理を定めたもの
 〇行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる
  当事者間の協議によりされた契約で合理的な基準によるもの
②債務免除の通知をした金額
 書面による債務免除(債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その弁済を受けられないと認められる場合に限られます。)

 上記のうち、実務で最も多いのが「書面による債務免除」です。
ここでいう書面については、書面の交付の事実を明らかにするために、内容証明郵便等により債務者に交付するか、債務者から受領書を受け取ることが望ましいとされています。

 加えて、債務者の債務超過の状態が、相当期間継続する必要があります。
相当期間とは、債権者が債務者の経営状態をみて回収不能かどうかを判断するために必要な合理的な期間をいいますので、一律何年と決まっているわけではありませんが、実務上は3~5年程度と考えるケースが多いようです。


税金

貸倒損失の取扱い

●質問
法人税は、貸倒損失の計上に対して非常に厳しいと聞きましたが、どのような要件を満たせば貸倒損失が認められるのでしょうか?

●回答
法人税において、貸倒損失の計上ができる場合は、
①法律上の貸倒れ
②事実上の貸倒れ
③形式上の貸倒れのいずれかに該当する場合とされています。

●解説
ビジネス上、売掛金や貸付金の回収が困難になり、債権の貸倒れを認識せざるを得ないケースは非常に多いですが、法人税は税収を確保する観点から、貸倒損失の計上を非常に限定しています。
具体的には、客観的に貸倒損失が発生したと認められる、①法律上の貸倒れ、②事実上の貸倒れ、③形式上の貸倒れのいずれかに該当する場合に限り、貸倒損失の計上が認められるとされています。

これらの事由に該当したとしても、貸倒損失が無条件に認められるわけではありません。上記のうち、②と③の貸倒れについては、所定の経理をしなければ法人税の経費として認めない、という取扱いも設けられています。

法人税の貸倒損失の取扱い
 法律上の貸倒れ・・・法的な手続きで切り捨てられた場合はなし
 事実上の貸倒れ・・・債務者の状況等に照らし回収不能となった場合は貸倒損失として損金経理
 形式上の貸倒れ・・・取引停止後、1年以上経過した場合は備忘価額を残す