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おたすけ経営ナビ

犯罪による被害金額の確定

●質問

従業員が、1年前に商品を勝手に売り横領していたことが発覚しました。

当時10万円程度でしたが、現在は値上がりして50万円はする商品です。

従業員に50万円賠償させたいのですが可能でしょうか。

 

●回答

原則的には横領行為時の時価である10万円ということになりますが、値上がりが予想できた場合は現在までの最高値(中間最高価格)で賠償請求できます。

●解説

古くから判例があります。

大審院判例(大正15年5月22日・富貴丸事件)では、不法行為時(物の滅失時)の交換価値を原則としつつも、騰貴価格で転売などの処分をするか、その他の方法でこの価格に相当する利益を確実に取得できたという特別な事情があり、かつその事情について予見可能性があった場合には、騰貴価格による損害賠償請求ができるとしています。

更に、最高裁判例では、価格が上昇中の場合、価格上昇について予見可能性があれば、処分が予想されたか否かに関係なく騰貴価格で賠償請求できるとしています。

(最高裁判決昭和37年11月16日、同47年4月20日)。

価格上昇が予見できたか否か(予見可能性)は、当該目的物の性質、取引市場の有無、行為時の市場動向、不法行為者の地位・経験等、色々な諸事実を総合的に判断することになると思われます。

 


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瑕疵担保責任の法定期間の延長・短縮

●質問

電気設備を設置する工事を発注しました。請負契約書には「瑕疵担保責任の期間は「引渡の日から2年間」となっています。

当社としては、長くしたいのですが瑕疵担保責任の期間は法律で決まっているのでしょうか。

 

●回答

解説をご確認ください。

●解説

1 民法に規定があります。請負契約の担保責任期間は、原則として引渡しから、引渡不要の工事であれば完了から1年です。

(なお、新築住宅の場合は特別法の規定があります)

しかし目的物が、土地の工作物(典型的には建物)に関する請負の場合は原則5年

(石造、土造、煉瓦造、金属造の場合は10年)となります(以上、民法637~638)。

 

2 これらの期間は特約で短縮したり延長したりすることができます(同639。条文上は延長しか規定されていませんが、解釈上、短縮も可能と解されています)。実際上、建設業者の約款では短縮されています。

 

ご相談の件の場合、法律の規定が特約により修正されて2年(電気設備が土地の工作物に該当する場合であれば短縮されて2年、それに該当しない場合は延長されて2年)ということになります。


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横領・背任・詐欺の相違点

●質問

従業員が、取引先をだまし取引先から自分の口座に入金させていました。

この場合、詐欺でしょうか?

横領・背任・詐欺の違いを教えてください。

 

●回答

おそらく詐欺罪に該当するでしょう。解説をご確認ください。

●解説

3つの罪の違いをごく簡単に言えば、以下のとおりです。

①詐欺罪とは相手方を騙して相手方の錯誤に乗じて財物を交付させること。

②横領罪とは、自分が占有している他人の財物を自分の物にしたり処分したりすること。

③背任罪とは、他人(本人)の為に事務処理する者が自分や第三者の利益を図る目的や本人に損害を与える目的で、その任務に背く行為をし、本人に損害を与える行為をすること。

 

例えば、会社の預金口座を管理している者(経理部長など)が、そこから勝手に出金して自分の懐に入れたのであれば(業務上)横領罪です。

背任に当たる場合というのは、例えば、営業部長が会社の商品を正当な理由もないのに自分の身内に原価を下回る安値が販売したとか、銀行員が焦げ付くのが分かっているのに身内に無担保で貸付を行うとかが考えられます。

ご相談の件の場合、当該従業員は、取引先を騙して当該従業員の口座が正規の取引口座だと思わせてそこに代金を振り込ませた(交付させた)のですから詐欺罪になります。この場合、詐欺罪における被害者は取引先ということになりますが、実質的な被害者は貴社ですから告発は可能です。


人事労務

連休中の出勤した場合の割増し賃金

●質問

連休中に休日出勤してもらった従業員には、必ず35%増しの休日出勤手当が必要になりますか。

 

●回答

法定休日の出勤でなければ35%増にする必要はありません。

また、週40時間以内の労働であれば休日出勤であっても基本的には25%の割増率も不要です。

ただ、就業規則に割増賃金を支払うと定めている場合は、就業規則に則ることになります。

●解説

労働基準法には、次の3種類の割増賃金が定められています。

・1日8時間・1週40時間(いわゆる法定労働時間)を超えて労働した場合に、25%増の時間外労働割増賃金

・夜10時から翌朝5時までの間に労働した場合の、25%増となる深夜労働割増賃金

・法定休日に労働した場合に、35%増となる法定休日労働割増賃金

また法定休日とは、1週に1日か、起算日を特定した4週に4日もうける休日をいいます。

この法定休日に労働させた場合(言い換えると、法定休日を与えることができなかった場合)に法定休日労働割増賃金が発生します。

では連休に出勤した場合に法定休日労働に該当するかというと連休全てを出勤していれば、そうなるかとも思いますが他に休日を与えられているなら、法定休日労働には該当しないことになります。

ただし、休日出勤をした週に既に法定労働時間の上限まで労働している場合には、時間外労働割増賃金が発生することもあります。

さらに、ここまでは原則的な考え方になりますが、会社ごとの就業規則の内容によってその取扱いがことなることがあります。

例えば、『休日(法定休日か否かを問わず)労働はすべて35%増とする。』と就業規則に定められていれば、いわゆる法定休日労働に該当しなくても、35%増の割増賃金を支払う必要があります。

貴社の就業規則がどの様に定めてあるかをよくご確認ください。


人事労務

履歴書は返却すべきか、破棄すべきか。

●質問

不採用となった方から履歴書の返却を求められたのですが、既に廃棄していました。

履歴書は必ず返却しないといけないのか教えてください。

また、今後どのようにすべきなどかもご意見いただけませんでしょうか。

 

●回答

法律によって返却が義務付けられているわけではありませんが、労働局やハローワークでは、できるだけ返却するよう推奨しています。

 

●解説

職業安定法により、履歴書等の応募書類を採用選考以外の目的で使用することが禁止されており、そのため目的が済めば返却、または責任をもって廃棄することになります。

返却が義務付けられてはいませんので、社内でシュレッダーにかけても構わないのですが、応募者の了承を得ていないケースや、そもそも履歴書の取扱いについて何も伝えていないと本人からすれば、自分の履歴書がどの様に扱われたのか分からないことになります。

そうなると、上記の職業安定法が禁止している“目的以外の使用”を本当にしていないのかという疑問が湧いてくるでしょうから、会社に苦情を申し立てるだけではなくハローワーク等へ会社に対する指導をするよう求めたり、損害賠償を請求したりということもありえます。

加えて、万が一本当に書類が流出してしまったり、目的以外の使用がされてしまえば会社の責任問題にもなってしまいます。

ご相談の履歴書については既に破棄されてしまっている以上、返却は不可能ですので事前に取扱についてお伝えしたかどうかも踏まえて、誠実に説明し理解を求めることが望ましいでしょう。

 

今後は、例えば「特にご要望がない場合は、責任をもって破棄します」や「不採用の場合は、履歴書の返却と併せ郵送にてご連絡さしあげます」など応募者からの質問がなくても、積極的に履歴書の取扱いをお伝えすると良いでしょう。

ただ、手元に戻ってくる方が本人は安心するもので、ハローワーク等も返却を推奨していますし、うっかり廃棄されず社内に残ってしまうという事態も避けたいところですから、やはり積極的な返却をお勧めします。

また、応募書類の返却の有無や返却時の方法と時期、また採用・不採用通知の方法・時期などの連絡事項は、あらかじめチェックリストを用意され伝え漏れ・送付漏れのないように運用されると確実かと思います。


人事労務

二重の懲戒処分と一事不再理の原則

●質問

取引先に対して不始末を起こした従業員がいます。

懲戒処分として出勤停止の上、減給処分を行う予定ですが妥当でしょうか。

いずれの処分も就業規則上に定めてあります。

 

●回答

不始末の程度、内容が分かりませんので、処分の妥当性についてはお答えしかねます

が二重処分を行うことは避けられることをお勧めします。

 

●解説

「一事不再理の原則」という、憲法に定められ裁判でも用いられる考え方があります。

要は、一つの事件に対して複数の処分をしてはいけないというルールです。

 

このルールは、会社で行われる懲戒処分にも適用されていて、過去の裁判においても一事不再理の原則に反しているかどうかをもって、懲戒処分の無効判決が出されたことも度々あります。

 

ご質問にある“不始末”がどういった内容であるかが分かりませんが、それが一つの事案であるならば、処分も一つにしておく必要があります。

 

しかし、その不始末が一連のことであっても複数の事案を同時に発生させている場合は、それぞれについて処分することや、各事案の情状を勘案して重い処分を行うことは、一時不再理の原則には反しないとされています。

 

例えば、業務中に何らかの過失により事故を起こし、その後、問題発覚を恐れて事実の隠ぺいを図ったことが発覚したとします。前半の過失による事故と後半の故意の事実隠ぺいは別の事案と考えられますので、それぞれ別の懲戒処分をすることも可能です。

 


人事労務

自転車通勤と通勤災害

●質問

会社に無届で自転車通勤をしている従業員がいます。

事故があった場合は、やはり労災保険の通勤災害の対象外になりますか。

また、自転車通勤を禁止するつもりは特にありませんが、何か従業員に注意しておくことはありますか。

 

●回答

会社に無断であっても、一般的に見て合理的な方法・経路での通勤途上の事故であれば通勤災害の対象とされますが、合理的と認められる範囲については、従業員に周知しておくことが望ましいかと思います。

●解説

まず、通勤災害として認められ労災保険の給付が行なわれる主な4つの条件を確認します。

1.就業に関していること

2.業務上でないこと

3.合理的な経路と方法であること

4.住居と就業場所の往復であること

ご質問の自転車通勤が、上記の3に該当するかどうかという点が問題になりますが、通勤の方法は、公共交通機関、マイカー、徒歩など人によって様々です。

通勤災害として認められる条件は、会社に届け出ている経路・方法であることに限定されておらず、常識的な通勤途上であればよいことになります。

ただ、最近では健康やエコを目的にかなりの距離を自転車で通勤される人も増えているようです。

行政から具体的な通達が出されてはいませんが、あえて公共交通機関を使用せず何時間もかけて自転車通勤をしているようでは、合理的ではないと判断される可能性もありますので念のためご留意ください。

また、上記の4についても注意が必要です。

「住居と就業場所の往復であること」とのことですが、つまり「寄り道をしないこと」です。

しかし、通勤途上で子を保育園等に送迎したり、コンビニやスーパーで日用品を購入したり、他にも通院、食事、知人との会合、映画鑑賞やフィットネスクラブなど、業務時間外なのですから、これもまた人それぞれに寄り道をすることかと思います。

この寄り道の内容によっては、上記の3や4に該当しなくなり、通勤災害の対象外となることがあります。

自転車通勤をする従業員には、「不要な寄り道は極力避けること」「安全運転を心掛けること」を順守するようお伝えください。

最近では、比較的安価な民間保険会社の自転車保険も販売されていますから、検討材料の1つとしておくことも有り得るでしょう。


人事労務

試用期間中の解雇をする場合の注意点

●質問

3ヶ月の試用期間を設けて採用した者がいるのですが、期待したほどの能力がないと判断

したため、本採用しないことに決定しました。

有期契約ではないので辞めてもらうとなると、やはり解雇になりますか。

解雇予告も必要ですか。

 

●回答

解雇になります。

ただ、雇入れて14日未満での解雇であれば、試用期間中とのことなので解雇予告は不要

になります。

●解説

試用期間中でも、雇用契約が初日から既に発生しています。

その雇用契約を、どういう事情であれ、会社側の判断により打ち切るということですので即ち解雇になります。

労働基準法では解雇について次の2点が求められます。

(1) 就業規則に記載されている解雇事由に則っていること

(2) 30日分の解雇予告(事前通知または解雇予告手当の支払い)

(1)については、貴社の就業規則上の解雇の条文をご確認いただき、試用期間中の能力不足による解雇を行うのに相当な事由があることをご確認ください。

(2)については、原則として30日前に解雇通知をすることが必要となり日数を短縮した場合は、短縮した日数分に解雇予告手当(1日あたり平均賃金1日分)に支払いが必要となります。ただし、試用期間中かつ入社後(暦日で)14日未満であれば、解雇予告を行うことが免除されるので予告なしで解雇可能です。※予告なしとなっても上記(1)は必要となります。

また、労働契約法によって客観的に合理的かつ社会通念上相当と認められる解雇理由が求められます。この解雇理由がない場合は、上記(1)の就業規則上の事由であっても無効とされます。

能力不足による解雇されるとのことですが、恐らく就業規則には、解釈次第で該当していると言える解雇事由はあるかと思います。

しかし、本当に重要なのは、“試用期間中に解雇されるほどの能力不足”であることを誰が考えても納得できるような形で証明できるかどうかという点です。

一般的に試用期間中であれば、本採用者に比べて解雇権を行使しやすいとされていますが、「でき得る限りの教育・指導をしたが、解雇せざるを得ないほど改善されなかった」という客観的な事実・記録が存在しているかどうか、という点も含めて改めて慎重にご判断されることをお勧めします。

日本の労働法は、労働者保護の側面が強く、特に解雇については非常に厳しい条件が付けられています。


人事労務

休憩時間中の行動制限はできるのか

●質問

休憩時間中の外出を禁止したり許可制にするなどの制限をすることはできますか。

ごく一部ですが、従業員が昼休憩中にパチンコに行くなどして少々困っています。

 

●回答

一定の制限を加えることは可能です。

●解説

休憩には次の3つの原則があります。

1、仕事の途中に与えなければならない『途中付与の原則』

2、特定の業種の場合や労使協定がある場合を除いて、同時に休憩を与えなければならない『一斉付与の原則』

3、休憩時間中は自由に休息させなければならない『自由利用の原則』

 

3つ目の『自由利用の原則』があるために、基本的に休憩時間中の労働者は、その行動に制限を受けません。

しかし、休憩中とはいえ勤務中であることには違いありませんので、本当にどのような振る舞いをしていても許されるということではなく、当然のことですが常識や節度は保たれなければなりません。

そういった考えのもと、会社の規律保持や企業秩序維持のためにある程度の制限を加えることは許容されるものであるという裁判例や行政通達があります。

今回のご相談では、休憩時間中にパチンコに行くことを制限されたいとのことですが遊戯に熱中してしまい休憩時間内に事業場に戻れない、十分な休息がとれない、

あるいは制服や社名入りの作業着姿のままでは企業の評判に悪影響を及ぼすといった可能性が十分に考えられ、当然、これらは会社の規律保持や企業秩序維持の上で問題になる事柄です。

外出理由の申出や必ず時間内に戻ることを条件に、休憩時間中の外出を認めるという旨を就業規則に記載され、その様に運用されるとよいかと思います。

 

ただし、会社の敷地内では自由に休息をとることができる環境を用意することも重要です。

“自分の事務机で電話番をしながら”“作業場内にて機器類を監視しながら”の休憩は、『休憩』ではなく『労働』とされてしまうのでご注意ください。

会社の指示により、待っているだけの「手待ち時間」も労働時間となります。

 

なお、休憩中における演説や集会、ビラ配布なども他の従業員の休憩の妨げになる場合やその内容次第で企業秩序を乱すおそれがある場合などは、許可なくこれらを行ってはならないとすることも可能とされています。


人事労務

振替出勤日の再振替をする場合

●質問

ある祝日(所定の休日)に会社行事を行うにあたって、休日を振り替え、その祝日を出社

日としていたのですが、諸事情により行事が中止となりました。

結局その日は休日としたので、振り替えるはずだった出勤日が1日余っていると思います。

この出勤日をまた別の休日に振り替えても差し支えないですか。

 

●回答

事前に振り替えているのなら基本的に問題はないと考えられますが振り替え休日を行うための要件等についてご確認ください。

●解説

休日の振り替えの要件とは次の通りです。

 

1.就業規則や労働協約に「休日振替」について振替要件、運用方法などを定めている

2.振替日を事前に特定(明示)する

 

振替日を特定して振り替えることにより、従来の所定休日と所定勤務日を入れ替えることができます。

振替休日が振替出勤日の前にきても後にきても構いません。

 

ただ、振り替えが行われるまでの期間について、法的な規制はないのですが「振り替えるべき日については、振り替えられた日以降できる限り近接している日が望ましい」という行政通達が出されています(S63.3.14基発150号)。

また、労働局では、できるだけ同一賃金計算期間中に取得させるよう指導を行っているようですので、できるだけ近い日に振り替えられるのが望ましいかと思います。