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法人契約の生命保険~以前よりお得度は下がりましたが、メリットはあります~

法人で生命保険を契約するということが以前はしばしば行われてきました。
これは、法人契約なら法人の経費になりそれは節税に結び付くという理由からです。
個人で生命保険を支払うと生命保険料控除という税金計算上での控除を受けることができますが、この控除は保険料の上限が低く設定されており、大きな節税効果は望めない仕組みになっています。
その点、法人契約なら上限がないので個人契約と法人契約で節税効果に大きな違いがありました。
しかし2019年に法人契約の生命保険に関する改正があり、節税メリットが大幅に縮小されました。
ただ、現在でも法人で生命保険を契約するメリットは残っており、これを使わない手はありません。
以下に法人契約でメリットのある生命保険を紹介します。

1)医療保険
コロナ禍で契約数が伸びましたが、2022年中に保険金が払われる条件の変更があり、当初の目論見と違ったと思われた方もおられるかもしれません。
現時点で、この保険を法人で契約するメリットは法人契約なら100%経費に算入できる上に、短期間で払い込みを完了して(5~10年程度)、その後に個人に契約を変更しても課税されないということです。
結果として保険料は全額経費になり、受け取る保険金は個人では非課税となります。
法人の利益が出ている間に保険料を全て支払っておき、その後は個人の保険として受け取るだけにしておけば安心ということです。
特に医療保険は高齢、つまり会社を退職してからの年齢こそ本格的に必要になるものですし、退職してから法人で契約を続けるのは税法的に無理があります。
このように医療保険については、個人契約するメリットがほぼありません。
(※ただし受け取り保険金が一時所得となる場合は個人課税上でメリットがあります。)
法人で事業を経営されておられる方は、是非ご検討ください。

2)定期保険
定期保険は2019年の改正で節税効果が減少しましたが、今でも法人契約のメリットはあります。
解約時返金率85%で経費率40%という契約が一番お勧めです。
100万円の保険料を支払った場合では、解約金は85万円です。
支払い期間中には40万円が経費になり、約9万円~12万円の節税効果が見込まれます。
実質3~6万円の負担で、満期期間までの保証を買うことができます。

3)年間支払い保険料1人30万円以下で解約返戻率が70%以下の定期保険、医療保険、がん保険など。
これらの保険は2019年改正の特例で、全額経費になります。
金額的に少額と感じますが、加入人数が多くなれば経費=節税額も大きくなります。

これらを踏まえると法人契約できるものはその契約をして、ドル建て生命保険など資産運用目的のものや一時所得となるものは個人契約するなどの使い分けが大切ということになります。