- 介護
新規開業について 『その4、自己資金』
●質問
介護事業を新規開業の予定ですが、資金繰りが心配です。
自己資金の額が的確なのか、判定できる方法はありますか。
●回答
事業計画どおりに進んでいるか、進んでいなければ今後どれくらいの時期に資金が不足しそうか、自己資金で足りるのかが不明なら事業の継続が困難になるおそれがあります。
●解説
あらためて言うまでもなく、全ての事業にとって資金繰りは大切です。
事業の継続にとって『お金』は大切です。
どんなに素晴らしい理念と計画があっても、技術力が優れていても、優秀な人材が揃っていても、企業に資金がなければ全ては終わりです。
介護事業を始めようとされる方は、介護の現場に長く関わり、その中で理想と現実の差に疑問を抱き、自らが理想の介護現場を実現させるべく決意された結果、開業を選ばれた方が多いように見受けられます。
その理想が高いのは非常に良いことです。介護はお金儲けの手段ではないでしょう。
ですが、ボランティア活動でもない限り、事業の継続には資金が必要です。
熱い決意と高い理想があれば何とかなる、ことは絶対にありません。
十分な資金的余裕と計画が揃っていなければ、自分だけでなく周囲にも迷惑をかけてしまうでしょう。
そこで大切なものは自己資金です。開業融資制度は活用すべきですが、それも十分な自己資金があっての話です。
最低1年間の事業計画を作り、その中でのイニシャルコストの3割できれば4割は自己資金でまかなえるようにすべきです。
さらに自己資金には、できるだけ親族からの援助は計算に入れないようにしましょう。
親族からの援助は事業が本当に悪化した場合に、それでも継続させるつもりなら、その時こそお願いすべきものです。
それを最初からアテにして計画するくらいなら、本当の自己資金が溜まるまで開業を延ばすべきです。
会社をつくる際の資本金に自己資金を投入すればいいのですから、投資額の少ない訪問介護事業などでは、資本金が300万円くらいの会社から始められるようなら安心でしょう。
開業前から事業計画を作り、そのイニシャルコストの3~4割の自己資金が溜まる頃が、開業の時期であり、その自己資金額が会社の資本金になると考えれば、徐々に開業へ向けての具体的な要素が決まっていくのではないでしょうか。