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倒産防止共済(経営セーフティ共済)とは
「倒産防止共済(経営セーフティ共済)」についてお話しいたします。
まず、倒産防止共済とは本来は連鎖倒産を防止するために設けられた共済制度です。
支払った掛金の最高10倍までの資金を無担保・無保証人で貸し付けを受けられる制度です。
ただ、現在では連鎖倒産ということが少なくなってきていますから、この本来の目的で加入する方はほとんどおられません。
独立行政法人中小企業基盤整備機構という政府外郭団体が運営し、この倒産防止共済には約59万社が加入しています。
他にこの団体が運営しているものとしては小規模企業共済などがあります。
もちろん、倒産防止共済と小規模企業共済は全く別物です。(小規模企業共済は別の機会にお話しします)
近年この共済に加入される方は連鎖倒産に対するためでなく、資金繰りの平準化と節税が目的で加入されることが多くなっています。
節税に関して個人で加入するメリットは多くはありませんので、会社で加入する場合について説明します。
以下が、倒産防止共済の特徴です。
① 掛金は全額経費になる。ただし、解約した場合には全額が収入になる。
② 掛け始めてから40カ月以内に解約すると元本割れする。
③ 掛金は月額5,000円から20万円まで。
④ 掛金を前払で最長1年分払うことができる。つまり1回で最大240万円を経費にできる。
⑤ ④の前払をしても次回は毎月払いに自動で変更される。(機構から案内葉書が届く)
⑥ 支払いは銀行引き落としなので、手続き(支払い開始や終了、変更時)に1カ月以上時間がかかることがある。
つまり前もって余裕を見て手続きをしないと決算に間に合わないことがある。
⑦ NPO法人・医療法人・一般財団などの法人では加入することができない。
⑧ 積立限度額が800万円で、それ以降は800万円のままで解約まで持ち続けるしかない。
⑨ 解約は全額しかできない。一部解約は不可。全額解約して、すぐに新たに掛け始めるのは可能。
当事務所では、この共済の利用方法として以下のように考えています。
① 利益が出る年度には、掛金を支払う。➡利益が減って節税になる。
② 決算直前(2カ月前くらい。あまり直前では手続きが間に合わない。)に急に利益が出た場合には、掛金を1年分前払(最高240万円)して、急な利益に対する節税効果を図る。
③ 損失が出る年度には解約をして資金繰りに充てる。損失が出るのであれば、解約してもその損失部分には税金がかからないことになる。
④ 会社を閉じる際には、社長の退職金として解約する。
会社側として解約金は収入だが退職金として支払えば経費だから差し引きで税金はかからない。
個人側(社長側)は退職金をもらう場合には、大きな節税効果がある。
⑤ 契約者貸付金制度があり、一時的な事業用資金に使うことができる。
この貸付金は実質無審査で、申し込みから短時間で入金がありますから、本格的な金融機関からの融資までのつなぎに利用すると便利です。
このような特徴がある共済ですが、上手に使うと大変便利な制度です。是非ご活用ください。
当事務所でも加入手続きをいたします。
※2022年11月1日現在の情報に基づいた記事になります。