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倒産した企業の関連会社に売掛金を請求できるか

●質問

当社の売上げ先であるA社は収益性の高い不動産を所有しています。

新設分割したB社にその不動産を承継させ、A社は倒産しました。

計画的だと思うのですが、当社はB社に売掛金を払ってもらうことはできませんか。

 

●回答

「法人格否認の法理」によりB社に対し請求できる可能性はあります。

●解説

相談文の事実だけでは判断しかねますが、会社分割に、債務を免脱する目的があるような場合は、「法人格否認の法理」によりB社に対し請求できる可能性はあります。

原則として、別会社であればいくら関連会社であっても他の会社の責任を負うことは無いのですが、別会社であることが形骸化している場合(形骸化事例)や別会社であることを悪用しているような場合(濫用事例)には別会社であっても他の会社の責任を負わされることがあります。

債務免脱目的で、資産や人的関係だけを別会社に移転して別会社で従来と同じ商売を続けるような場合は法人格否認法理の「濫用事例」に該当する可能性があります。

仮に、法人格否認では無理でも、少なくとも、不動産譲渡の対価の授受が無ければ、民法の詐害行為取消権に基づいてB社に対する不動産譲渡を取り消して、A社に戻させることは可能でしょう。

法人格否認法理の濫用事例に該当するか否かという点で考慮すべき事実関係としては、以下のような諸点があります。

①不動産譲渡対価の授受の有無、②B社設立の時期、③B社の役員関係、④従業員の引き継ぎの有無、⑤両社の営業内容の関連性、⑥本店・営業所等の位置関係等。

一般に法人格否認の法理が認められることは稀ですが、絶無ではありません。

最近、大阪地裁で法人格否認法理(濫用事例)で別会社に対し完全勝訴判決が出ています。貴社としては取り得る二つのルートがあります。

①詐害行為取消権を行使してA社に不動産を戻させてA社を相手取って訴訟する(この場合、A社の他の債権者と資産の取り合いになる可能性有り。しかし、法人格否認に比べると勝訴はしやすい)。

②法人格否認の法理を根拠にB社を相手取って訴訟する(勝訴はかなり困難。しかし勝てば早い者勝ちで回収可能)。

いずれにしても困難な事案であることは間違いなく、一長一短あります。できるだけ早期に弁護士に具体的にご相談されることをお勧めします。